架空生命ストリキニン

小説、大衆音楽、芸術

2020/06/11 感想

 

著者 : 凪良ゆう
発売日 : 2019-08-30

 

長い本は日を跨ぐと積んでしまうので一気に読んだ。流浪の月、なるほどなあ。話が重たいけどエンタメ性の広がりもちゃんと残してあって、結局ほとんどどうにもならない、けれどそのたった一つのために、というところ。これ以上書くとネタばらしになってしまうな。

話がハイペースで進むのもよかった。記憶に残る本は読む前と読んだ後とで別人になっている感覚があって、それは誰かの価値観だとか人生観だとか、あるいはそんな高尚なものじゃなくても、ちょっと世界のレンズの色を変えてくれるものを教えてくれる。自分が本を読む意味はそれだけじゃないんだけど、でもそのためだけに本を読む価値があると思う。にしても去年の大賞が『そして、バトンは渡された』で今年がこの作品、なんとなく似通っているところがあるな。

次は『このあたりの人たち』を読みます。一拍おいて川上弘美