架空生命ストリキニン

小説、大衆音楽、芸術

2020年の音楽

まとめてみます。対象はなるべく今年リリースのものを選んでみようとは思っていますが、たぶん20年リリースで「お!」と思ったものは(あるにはあるけど)そんなにない。気がする。

 

 

 

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しょっぱなから知らんアーティスト出してごめん。私の大好きなリーガルリリーです。良さを独占したいので、別に聞かなくてもいいとです。名前だけは知っておいてください。流行ったときに古参ぶりたいので。

ふわぁ〜っとしたボーカルが果てしなくロックでかっこいい曲を歌います。そのギャップがいいです。こういうこと言うの失礼かもしれないので申し訳ないんですが、アジカンとか、あと私はあんまり聞いてないですけどチャットモンチーなんかも、聞いている人はリーガルリリーを聴くといいらしいです。上の『1997』はギザギザしたベースがデーデデ デーデデ デーデデッ デッデッ↑ というメロディーを奏でるところから始まるのですが、最後のほうでサビ終わりにそのメロディーとボーカルの語りが重なるところが「回収〜〜!!!!」となってとても気持ち良いです。サビの歌詞もめちゃいい。

 

 

 

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ペリカンファンクラブ。関係ないですがクラブで終わるバンド多くないです? パッと思いつくだけでもヘルシンキラムダクラブ、オレンジスパイニクラブ、オーサムシティークラブ、etc。

直近だと、炎炎の消防隊のED曲を手掛けていましたね。この曲はそれとは関係ない曲です。ペリカンファンクラブは「モダンアーティスティックサウンド」「意味深哲学的な歌詞」「スタイリッシュな世界観」の3要素を兼ね備えているハイセンスなバンドです。Dr. StoneのOP『三原色』も好きです。あと『Dali』。MVがカッコよくて、なんというか、隙がないバンドです。しかも(伝聞ですが)普段のクールなイメージから一転、ライブだと熱いパフォーマンスになるそう。いつか観に行きたいな。←一生行かないタイプの人

 

 

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サウシー。サウシーって呼び方に慣れなくてずっとソーシードッグって言ってる。なんか激辛ホットドッグみたいで美味しそうなため。サウシーは歌詞で創作をしないド直球なところが好きです。あとボーカルの声が高え尾崎世界観みたいな高さじゃなくて、地声が高くてビビる。聞いてみてください。「たっっっっか!!」ってなります。2020年にいちばん聞いたのはサウシーの『雀ノ欠伸』でした。

これ2019年の曲ですが、MVが「みんなのうた」みたいな感じで琴線にベタベタ触ってきます。曲もめちゃ良いです。彼らはド直球な歌を歌うので、歌詞が「ただ明るい」や「ただ暗い」じゃなくて、「明るいけど暗い」「ダウナーだけど懐かしさがくすぐられる」みたいな曲が多いですが、これもまあそう。

 

 

 

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『ドランキン・スノーマン』と迷ったんですが、こっちで。ハヌマーンナンバーガールの血を継ぐものとして旋風を巻き起こしたものの、12年かそこらに突如解散してしまったバンドです。ナンバーガールの後継なのでアジカンにも近い。

『アパルトの中の恋人達』歌詞がほんとうに刺さりました。ジャスラッ何とかが怖いので歌詞を直接載せることはしませんが、最後のところの歌詞が、ほんとうに心臓を直接に狙いにきている。「誰しもが思ってはいるが、自分だけなんじゃないだろうかと思って口を閉ざしている、最大公約数的な領域」ってあるじゃないですか。そういう部分を高らかに歌い上げられると、氷のナイフを背中に突き立てられているみたいな感覚になります。この曲ではそれを歌っています。

 

 

 

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ほほえみDiary - インディゴ・ベル

突然のデレマスオタク

推しとか関係なく好きです。高森藍子顔のわりに楽曲のBPMがいちいち速いことで有名ですが、ほほダイこと『ほほえみDiary』もそうです。ほほダイって略すの最高にダサいので好きなんですが、今のところこの呼び方で呼んでいる人を見かけたことはありません。

間奏のギターソロに当たる部分が好きです。あのノンダイアトニックが炸裂してエモいところです。曲の展開だけでお昼が夕方になっていくのを表現してるのすごくないですか? (ちなみに『お散歩カメラ』はノンダイアトニックなdimコードという気持ち悪いコードを開幕即放っていることで知られています。)

 

 

 

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tetoです。バンド自体には詳しくないのでここでは触れませんが、曲があっついです。喉ぶっ壊れるんじゃないかという感じの歌い方、ストレートだけど口ずさみたくなるようなキャッチーなメロディーが売りです。『Pain Pain Pain』はいちばん騒いでます。たぶん。ビレッジマンズストアに匹敵します。

サビをなるだけパソコン上の文字で表現してみると、

あ゙ぁ゙じぃ゙ぃ゙ぃ゙だぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー゙ー゙ー゙ー゙ー゙ー゙あ゙あ゙ぁ゙ー゙ー゙ー゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー゙ー゙ー゙ー゙ー゙!゙!゙!゙!゙!゙!゙!゙!゙!゙

って感じです。聞いてみてください。たしかに、ってなると思います。

 

 

 

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NEEです。このバンドもそこまで詳しくないのでバンドの紹介は割愛します。サブカルチックで言ってしまえば一世代前のボカロみたいなイントロから、ボカロとかサブカルから連想されるものとは程遠い濁った男性ボーカルが突き抜けます。そこが好きです。

イントロだけでも聞いてみてください。「ボカロじゃん」ってなると思います。ついでに歌い出しも聞いてみると、「ボカロじゃないじゃん」ってなります。

ボカロあるある:「おっ、というイントロから全然ピンとこないメロディーとサビ」ですが、この曲はボカロでないので大丈夫です。

 

 

 

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Indigo la endです。デイリーミックスに紛れ込んでいたんですが、「メロディーラインめっちゃラッドっぽいな……でも声が違うしな……」となっていました。冷静に野田洋次郎の詞はもっと変です。

良い曲です。もったりした液体の中で溺れているような感覚に陥ります。アウトロが最高です。

 

 

 

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GOOD ON THE REEL。英語で「なんかいい感じ」って意味らしいです。『あとさき』は「左利きのエレン」というドラマの主題歌なのですが、詞が直接殴ってきます。前述のハヌマーンの曲が直接心臓を狙ってくるなら、この曲はフィクションでよくある、100tと書かれたハンマーで殴ってきます。主題は創作者の叫びです。叫んでいます。大叫びです。ボーカルの強くて太い声と相まって、説得力が半端ではない。

 

 

 

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遊び心があってかわいい曲です。つい口ずさんでしまうようなキャッチーなメロディー、一筋縄ではいかない歌詞、コロコロ転がるようなギターが上手にシナジーを起こしています。歌詞の意味はよく分かっていません。分からないなりに気に入っています。語感の良さとか。

 

 

 

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plentyです。ボーカルの声質が刺さっています。こういう(いい意味で)寂しい感じのボーカルは、もったりとしたバラードチックなロックに合いますね。歌詞も「若者〜!」って感じがして好きです。高い音を太く歌ってくれると、いいぞ、もっと叫べ、みたいな気分になりますよね。なりませんか? plenty自体に言及したところで、『蒼き日々』にも触れておきます。この曲特有の性質としては、Cメロの転調(?)が好きです。バンプの『プレゼント』みたいな。

plenty、解散してるんですね。ボーカルの人はソロシンガーとして活動を続けているらしいです。また解散したバンドを好きになってしまった……

 

 

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上でちょこっと言及したヘルシンキラムダクラブです。キャッチーなメロディーとそこからちょっとだけ外れる偏屈な音が絶妙に組み合わさり、また、なんだか深淵を覗いているような歌詞もうまく世界観の構成要素として機能している印象があります。『NEON SISTER』を挙げているのは、ベースがとてもかっこいいためです。メロディーと噛み合うような噛み合わないような感じでドゥルドゥル鳴ってて好きです。

 

 

 

 

 

一曲ごとにこの分量を書いていたら時間がいくらあっても足りないのでこの辺で勘弁してください。皆さんもこんな感じで今年刺さった曲をまとめてみたらどうでしょうか? いい内省の機会になると思います。

而立

御影通りを西に行く夜、こんな孤独の中で66号線やセントエルモの火を聞いていれば自ずと自意識も過剰になるものである。

自意識が薄らいでいくのにしたがってお話を書くのが難しくなっていく感覚もある。

二次の小説を書くことは闘病で、成果物は闘病日記なのかもな。

完治と同時に俺は物書きの動機を一切失う。

一生病気でいろと?

 

孤独の存在を理解してしまった。

孤独を紛らわすのに文章を書く。馬鹿馬鹿しい。

ひとりでいればいるだけの時間量が過剰な自意識となって襲いかかってくる。

自意識が精神から少しずつ剥がれていっているのを感じる。

生の動機が薄い。死の動機も同様に薄い。

どっちでもいい。

5年分の遅れ。

甘美ではないが刺もない、水っぽい快楽。

もう一ミリも死にたいとか思わないし。楽になったのかもな。

自意識の断末魔が聞こえるまで間もない。気がする。

でもまあ、そこに自分はいないので。嬉しいとも悲しいともつかないな。

サーカスについて

 

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん 

 

 偉大だとされている文章や詩と対峙するとき、先入観を捨てなければならない。真っ新な無の状態から、それが一定の評価を受けているものだとはつゆも知らない人間の視点から、率直な思案がなされるべきである。濁りのないレンズから見通されたそれらに、もし負の感想を抱いてしまったのなら、それは審美眼の欠如の証左である。逆に世間様の感想と概ね一致するのであれば、正しいと呼んで構わないのだと思う。

幾時代がありまして
 茶色い戦争がありました

幾時代がありまして
 冬は疾風(しっぷう)吹きました

幾時代がありまして
 今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)
 今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁(はり)
 そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ

頭倒(あたまさか)さに手を垂れて
 汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

 サーカスという言葉は昔と現代とでイメージを変えてしまっている。現代と、なんて書いたが、現代人の感覚を代表するつもりは毛頭ない。なので個人的な感覚として、サーカスと聞くと前現代的でなんだか暗いイメージが思い起こされる。このイメージ自体、中也のこの詩に引っ張られた結果なのかもしれないけれど。一行目から見ていこう。

「茶色い戦争」個人的にいい表現だな〜と思う。凝ったレトリックって色々あるけどこの"茶色い"は技巧を凝らしたそれらよりも何倍も価値があるんじゃないか? 個人の感想です。戦争には赤とか黒とかそういう色がつきものであり、そこに茶色。戦争から何年かが経って形跡が風化しているイメージが湧いた。これが作者の意図通りなのかはわからない。

戦争、冬の疾風と続いて今夜ここでの一盛り。まさに道化である。その道化を道化だと暴いてしまっている。その後に続くのが「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」という底知れない擬音である。

前二つはゴムが伸びる(あるいは縮む)ような音だ、と感じる。ゆやゆよんはどうだろうか。ゆあーん、ゆよーんといった伸びきってだらしのないオノマトペに対して、ちゃかちゃかとしている。舌を間違って噛んでしまったときの音とも近い。

それの近くの白い灯(ひ)が
安値(やす)いリボンと息を吐(は)き

観客様はみな鰯(いわし)
咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

屋外(やがい)は真ッ闇(くら) 闇の闇
夜は劫々と更けまする
落下傘奴(らっかがさめ)のノスタルジア
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

この辺りは本当によくわからない。何もわからないので何も書けない。許してください。

ハッピーワオン

  • 漠然と物を買いたい欲だけがあって物質の方が追いついていないときがよくある。今欲しいのは『フランス菓子図鑑』『WAONのぬいぐるみ』『Blendy ポーション 微糖』の3つである。フランス菓子図鑑は時間をつぶすのにちょうど良いと思う。WAONのぬいぐるみはメルカリで売っている。WAONがなんなのかもよくわかっていないが、犬はかわいいので。コーヒーは実用性に基づいている。

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    とてもかわいい。犬自体は白と黒の二色で構成されているが、そのシンプルさにも好感が持てる。顔の非対称性もナチュラルな雰囲気を醸し出しているし、脱・没個性のために申し訳程度に引いてある首の周りの輪っかなんかも良い味を出している。凝っていないキャラクターデザインであるからこそ、本能に働きかけるような一種の訴求力があるように思うのだ。

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    ハッピーワオンという名前らしい。公式サイトに飛んでみると、結構な数の4コマ漫画があり、供給過多パンチを食らった気分。

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    おもしろ事件簿。270万回も来店しようとすんな。


麺類の悪魔

  • この夏はそうめんを一回も食べなかった。そもそも実家にはそうめんを食べる文化がなく、自分でも作らないのだから当然ではある。そうめんにはあらゆるベクトルにおいて上位互換が存在するので、そうめんを食べる理由が見つからないことが多い。「それ、そうめんじゃなくて良くね?」と心の中の麺類の悪魔が囁くのである。さておき揖保の糸は美味しいと聞くので、いつか食べてみたいと思う。
  • 気がつくと全身GLOBAL WORK人間になっている。大学生男子が贔屓にしていて許されそうなアトモスフィアのある服屋というのが本当に少ないため。わかるか、この気持ち。奇抜でなく無難で、でもダサくはなく、価格がある程度安く、かつユニクロでない服屋というのは本当に少ない。グローバルワークのような存在はかなり貴重である。もし近場にグローバルワークがあるのであれば大事にしてやってほしい。

飽き性

  • 果てしない三日坊主である。飽き性。飽き性という言葉はよくないのかもと思う。心の中の黒い影が、お前は飽き性なんかではなく、事象に深い興味を持てない哀れな存在なのだから、飽き性って言葉なんか使うなと言っている。嘘。黒い影なんてのはいない。
  • 何か書こうとして忘れた。
  • 映画のDVDが届くので、観たい。

形而

  • 近いことが何もないときに、遠くのことを書きたくなる。ファジィに表現しているが、要するに形而的なことを書きたがる。あいにくと、遠くのことは近くのことよりウケが悪い。
  • 明日のバスに乗って旅行に行くらしい。楽しみ。旅行に行くとなぜだか機嫌が悪くなるたちだが、今回はなんとか抑えたい。抑える。
  • 隙あらばpixivを眺めてしまっている。承認欲求がすごい。別に貰ったとしてもどうともならないのにね。はやく個人誌出したいよ……